美術館のある公園、といった感じの場所だ。
熊本県南阿蘇村にある葉祥明(ようしょうめい)阿蘇美術館は、絵本作家・葉祥明さん(73)の原画などを展示している。館内から、「絵本の小道入口」と書かれた白い扉を開けると、目の前に6・6万平方メートルの草原が広がる。ぽつんと立つこぶしの木に向かって丘を上り、ベンチに腰掛けて雄大な自然を望むと、作品の中に入ったような気分になる。
開館は17年前。当時の旧長陽村(後に合併し南阿蘇村)の村長が、阿蘇の自然が乱開発されることを心配して、景観を生かした美術館の建設を葉さんと弟の葉山祥鼎(しょうてい)さん(70)に頼んだのがきっかけだ。当時、神奈川県鎌倉市にある葉祥明美術館を運営していた葉山さんが館長として赴いた。
熊本で生まれ育った葉さん兄弟は、幼い頃、よく父と阿蘇を訪れ、牧野の中で遊んだ。それが葉さんの絵の原風景となっている。葉山さんも絵を描いていたが、「(兄と)同じことをしても」と写真家の道へ。人気作家になった兄のプロデュースも始めた。
思い出の場所で、葉山さんは自分で牧草を刈って道をつくったり、木を植えたりして、美術館の庭をメルヘン画の世界に変えていった。幼い兄弟を育んだあの原風景が広がる世界だ。
葉山さんも、絵本や写真集など…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル